僕がゼロワンで『大人のスポーツテスト』を始めた理由【東京支部代表・奥野康治】

みなさんこんにちは!
NPO法人ゼロワン(以下:ゼロワン)で、イベント運営やライターをしている原田です!

さて、先日ですが、ゼロワン東京支部の代表・奥野さんに、「なぜ、『大人のスポーツテスト(通称:スポテス)』を始めたのか?」についてインタビューさせていただきました!

今回は、そのインタビューの内容をまとめてお伝えしていこうと思います。

私たちゼロワンのミッションは「外遊びを再び日本の文化に」なので、『大人のスポーツテスト』は一見すると、外遊びとはあまり関係のないイベントだと思われるかもしれません。

それではなぜ、『大人のスポーツテスト』をゼロワンの新たな事業としてはじめることになったのでしょうか?
そこには、東京代表の奥野さんだからこその、ゼロワンに対するさまざまな想いがありました。

NPO法人ゼロワンの新規事業を作る!

では最初に、奥野さんのゼロワンでの簡単な経歴について教えてください!
2014年からゼロワンに所属していて、2018年から、ゼロワン東京支部の代表を務めています。

ゼロワンは現在、東京と大阪の2拠点で活動していて、東京では「スポーツテスト(通称:スポテス)」を、大阪では、サイリウムを使った新感覚で幻想的な遊び「プラネタリング」を2019年に開発し、日々たくさんの人に楽しんでもらえるように活動しています。 

もう5年以上もゼロワンで活動されているんですね!
そうなりますね(笑)。
ただ、ゼロワンが活動を開始したのは僕が入るよりももっと前。まだゼロワンがNPO法人ではなく任意団体だった、2010年頃からです。

ゼロワンができたのが2010年で、さっきも言ったように、スポテスができたのが2019年。
じゃあ、それよりも前には何をしていたのかというと、活動最初期から2019年頃までは、「チャンバラ合戦-IKUSA-」という遊びを広める活動をしていました。
チャンバラ合戦は、スポンジでできた刀と、「命」と呼ばれるボールを使って遊ぶアクティビティです。
当時から2020年現在までに、のべ4万人以上の人たちがこのチャンバラ合戦を楽しんでくれて、「ゼロワンといえばチャンバラ」というイメージすら広まっています。 

チャンバラ合戦は僕も少しやったことがあります。多くの人で楽しめて面白いですよね!では今は、チャンバラは止めてしまったんでしょうか?
いえ、チャンバラを止めたわけではないんです。チャンバラ合戦自体は僕も大好きだし、ゼロワンに参加したのもチャンバラがキッカケでした。
ただ、どうしても、活動内容をチャンバラだけに絞ってしまうと、組織の盛り上がりが徐々になくなってきてしまうんですね。 

それに、僕を含めたゼロワンのメンバーは、普段は別の仕事があります。
なので、ゼロワンでの活動はあくまでも“余暇を楽しむ”という側面でやっていたのですが、気が付けば「やりたいこと」「達成感を得ること」よりも、「やならければいけないこと」「こなす仕事」が増えていってしまいました。

加えて、「チャンバラ立ち上げ当初からゼロワンにいる人」と、「後からゼロワンに入った人」の中でも、チャンバラへの考え方が大きく異なっていって…、僕自身が、ゼロワンという組織への愛着が薄れてきていると実感してしまったんです。

もちろん、チャンバラ合戦はたくさんの人を笑顔にすることができるので、最高に楽しいことに変わりはありません。
けれども、僕としては、“新しい何か”を作り上げていくことに楽しみを感じるタイプなので、チャンバラ以外の何かを作って、もう一度ゼロワンを活気付けたいと思ったんです。

それで新しく、“何か”を始めようとされたんですね。
ゼロワンが創設当時から掲げているミッションは「外遊びを再び日本の文化に」です。

僕たちは、チャンバラ合戦を通して、遊ぶ機会が減少している外遊びの文化を再び日本に復活させて、大人・子供・親子、どんな人に対しても健康で、笑顔あふれる社会を作りたいという思いで今まで活動してきました。
その中で、“チャンバラ合戦はなぜ多くの人に認められたのか”をじっくり考えてみると、今の時代に求められる「遊びの4要素」があったんですよね。

その4つの要素とは、それぞれ【熱狂性・共感性・安全性・参加性】です。
これを基にして、昔からある遊びを再開発したら面白いと思い、ゼロワンの新たな事業を開発することを決めました。

みんなが知っていて、すぐ理解できるイベントを作りたい


では、『大人のスポーツテスト』が生まれた経緯について教えてください!
チャンバラ合戦IKUSAがヒットしたのは、さっきもお伝えした通り、遊びに不可欠な4つの要素【熱狂性・共感性・安全性・参加性】が全て揃っていたから。
じゃあ、ゼロワンとして、今後新しくどんな事業をやっていこうかなと考えていたときにふと、“昔、学校で「スポーツテスト」ってやったよな。あれ、体を鍛えるきっかけになったし、何より楽しかったんだよな…”と、当時の記憶が蘇ってきたんです。
というのも、私は中学・高校と陸上部に所属していたので、学校のスポーツテストの日は各種目の測定を手伝うことになっていました。
手伝いをしているときは、普段とは違う雰囲気の中で友人と話せたり、同じ部活の仲間と一緒にイベントを企画している感じで楽しくて。
それに、僕は陸上部で中距離をやっていたので、スポーツテストの1500mでは最高得点の10点なんですが、短距離やハンドボールになると極端に弱くなる(笑)。

それで、成績表を友人と見せ合っていると、個人の特徴が目に見えるようにわかるんですよ。
まるで「異種格闘技戦」みたいな、それぞれの強みが弱みをカバーして、総合得点を競うのが面白かったんですよね。
それにほら、「あいつ帰宅部なのに、なんで成績めちゃいいねん!」みたいな人とかいませんでしたか?(笑)

いましたね(笑)
それで、新規事業として「スポーツテスト」がいいんじゃないかと思いました。

意外にもスポテスは、遊びの4要素である【熱狂性・共感性・安全性・参加性】に当てはまるんですよ。
熱狂性・・・常に熱狂するイベントではないけども、熱狂するポイントは複数作れるな
共感性・・・学生時代にやっていたから、なんとなくみんなわかるはず
安全性・・・しっかりした測定で、安全は担保できるはず
参加性・・・学生時代にやっていたから、なんとなくみんなわかるはず

ということで、チャンバラ合戦のような超熱狂なイベントではないけども、自分の中ではOKでした。

じゃあ次に、スポテスを開催するには何が必要かなと考えました。
場所や運営人数の確保はすでにゼロワン内で完結することができたし、測定方法は文部科学省の公式を勉強して覚えて、さらに“楽しさ”の要素を加えるために、オリジナルの成績表を考案したんです。
こんな感じで、僕の中では、“あれ、これスポテス開催できるやん!”となっていきました。

そしてメンバーにも、“スポテスをやりたいんだけど、どう?”と話したところ、メンバーからも面白そうという反応をもらえて…、そこから本格的にスポテス事業がスタートしたんです。
(僕は結構心が弱い人間なので、あのときメンバーが背中を押してくれなかったら、もしかしたら挫折していたかもしれません。笑)

社会の価値観を変えるキッカケを作りたい

奥野さんが、スポテスを通じて成し遂げたいことはなんでしょうか?
そうですね、一言でいうと、“社会の価値観を変えるキッカケを作りたい”んです。

僕は今年で32歳になりますが、学生時代に比べると運動する時間というのは本当に減っていると思います。学生時代では、毎日10kmは走っていましたので。
おそらくこの現象は、僕以外の多くの社会人でも同じかなと思うんです。それで、毎年会社の健康診断だけ受けて、去年の結果と比べて「どこが悪いか」「どこが平均的か」という、ゼロかマイナスかだけを測定します。

たしかに、学生時代に比べると忙しくなったとはいえ、本来であれば大人になるにつれて、学生の頃よりももっと健康を意識しなければいけませんよね。
なのに、なぜ僕たち多くの社会人は運動をしていないか。
そんなことを考えていくうちに、ある1つの答えが思い浮かびました。 

1つの答えとは、何でしょうか?
それは、“大人になるにつれて娯楽が増えて、生活の中での運動が身近なものではなくなってしまっている”ということです。
学生の頃であれば、体育の授業で体を動かしたり、放課後に部活やクラブに所属したりといった具合で、運動やスポーツは生活の中の1部でしたよね。
けれども、歳を重ねるにつれてその生活はだんだんと薄れていってしまいます。

それと同時に、お酒や趣味嗜好など、運動よりもお金がかかるけれどみんなで楽しめたり、良い気分を得られるものがたくさん増えていくことで、運動とはさらに距離が遠くなってしまっているんですよね。

たしかに僕も、社会人になってからはあまり運動してなかったです。
そうなんですよね。体は歳をとっているので、本来であれば学生のときよりも運動して健康を意識しなきゃいけないのに、僕たちは何をしているんだ!、って(笑)。
そこで僕は、ゼロワンとして、多くの人の身近で運動ができる機会を作れば、社会にとって非常に有益なものになるのでは?と思ったんです。

僕がNPO法人に所属して実感しているのが、“僕たちのような規模のNPO法人は、人々の価値観を少しだけいい方向に変えることができる”ということ。
世の中にはたくさんのNPO法人がありますが、僕たちゼロワンは、決して巨大な組織ではありません。
だから僕たちは、アフリカの難民を助けたり、貧困をなくしたりなど、世界に絶対的に不足している何かを提供することは難しい。でも、そんな僕らでも、小さなことはできます
例えば、全く運動していなかった人が週に1回運動するようになったり、大人も外で遊ぶことが当たり前になって、「公園は子供だけが遊ぶ所」ではなく、「大人同士も体を使って遊ぶ所」にする、といった社会を実現することはできると思っています。
運動を全くしない社会と、運動を少しでもする社会なら、絶対に後者の方がいいじゃないですか。

そういった、“少しだけだけど、絶対に有益な価値観を発信して理解してもらう”ことが、僕たちゼロワンならできると思っています。
だから僕は、ゼロワンの新たな取り組みとしてスポーツテストを開催しました。

いざスポテスをはじめてみて、どうでしたか?
ゼロワンのスポテスイベントでは、まだまだ規模は小さいながらも、老若男女、たくさんの人に楽しんでいただけています!
それにこれは、イベントを開催していくうちに気づいたことなのですが、特に親子でスポテスに参加されるとすごい盛り上がるんです!(笑)
親子で同じ競技をしてどっちの方が良い点数か勝負したり、普段は忙しいお父さんやお母さんのかっこいい一面を見せたりと、普段お子さんと一緒に外で遊ぶことが難しい中で、貴重な時間を過ごしていただけていると感じます。
また、子供がいつの間にか立派に成長している姿を一緒に参加して見ることができるのは、学校の運動会では味わえないような感覚で、今までもたくさんの親子さんたちに楽しんでいただくことができました!

本日はインタビューありがとうございました!それでは最後に、今後の奥野さんの展望について教えてください!
今後は、もっと多くの人にスポテスを楽しんでもらうのはもちろん、企業や行政への導入も提案していきたいと思っています。

将来的には、企業の健康診断と同じように、スポーツテストが毎年行われるような健康的な社会を作ることを目指しています
スポーツテストが毎年実施されるようになれば、「来年はこの種目を伸ばそう」とか、「記録を伸ばすために、もっともっと体を鍛えよう!」といった感じで、私生活でもポジティブな行動につながると思っています。

長くなりましたが、読んで頂きありがとうございました。
今後もスポテスを続けていきますので興味がありましたら是非イベントに遊びに来てください!
一緒にスポテスを運営したいという方もお待ちしております!

前回の『大人のスポーツテスト』の様子はこちらから!

雨でも夜でも遊べる光の運動会「プラネタリング」

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