地域活性化イベントの成功事例|観光資源ゼロから10,185人を集めた「可児市の乱」に学ぶ
「目立つ観光資源がない」「イベントをやっても年配の方しか集まらない」「補助金が終わったら続かない」——地域活性化を担当する自治体・観光協会の方から、よくいただくお悩みです。
この記事では、まさに「目立つ観光資源がない」状態から、通算60イベント以上・参加者10,185人を集め、10年近く続く地域の名物になった岐阜県可児市「可児市の乱」の事例をもとに、地域活性化イベントを成功させる考え方を、仕掛け人であるNPO法人ゼロワンが解説します。
可児市との出会いは、ゼロワンメンバーからの「おもろい市役所の人たちがおるけど、会ってみない?」という一言でした。それまで私たちは大阪城や姫路城、松江城の城前イベント、各地のお祭りなど日本中で地域活性化のお手伝いをしてきましたが、どれも会場は大盛り上がりでも「年に一回の一過性のイベント」で終わっていました。可児市観光交流課さんの依頼は違いました——「年間を通して実施するチャンバラ合戦で、地方創生に取り組みたい」。担当者の「他とは違うことをしたい」という言葉に、理事長の私が「他とは違うことしか出来ない」と返したところから、このプロジェクトは始まりました。
地域活性化イベントが「一過性」で終わる3つのパターン
多くの自治体イベントが抱える課題は共通しています。
パターン1:見るだけのイベント。 ステージや物産展など「観覧型」の企画は、その日は賑わっても地域への愛着にはつながりにくく、リピートを生みません。
パターン2:若い世代・ファミリー層が来ない。 歴史や文化を活かした企画は、年配の方や一部の愛好家にしか届かないことが少なくありません。次世代に届かなければ、担い手も育ちません。
パターン3:住民が「お客さん」のまま。 外部の企画会社がすべてを持ち込むイベントは、予算が切れた瞬間に終わります。地域に運営ノウハウが残らないためです。
「続く」地域活性化イベントの3原則

可児市の乱をはじめとする経験から、私たちは「続くイベント」には3つの原則があると考えています。
原則1:体験型であること。 見るのではなく、子どもも大人も同じ場で参加する。体験の記憶は「また来たい」に直結します。
原則2:地域資源と結びつくこと。 イベント単体で盛り上がるのではなく、遊びの中で地域の歴史や場所に自然と触れる仕掛けを組み込みます。
原則3:住民が主体になること。 立ち上げはプロが伴走しても、運営の中心は住民へ。ワークショップなどで「自分たちの祭り」に育てていきます。
事例:岐阜県可児市「可児市の乱」——観光資源ゼロからの挑戦

背景
可児市には戦国時代の地理的条件から、国史跡・美濃金山城跡をはじめ市内10か所に城跡が残っています。しかし「城跡はあっても天守閣はない」——観光の目玉にはなりにくく、市民の認知度も高くありませんでした。可児市観光交流課さまからのご相談は「この城跡を活用して地域活性化ができないか」というものでした。
仕掛け:チャンバラ合戦×城跡×住民参加
行政・NPO・民間企業が連携する「戦国城跡巡り事業」として、スポンジ刀で戦う体験型イベント「チャンバラ合戦 -戦 IKUSA-」を市内10か所の城跡で多拠点開催(初年度24回)しました。ポイントは3原則の実装です。
- 体験型:5歳から88歳まで同じ戦場で戦える。親子連れ・若い世代が城跡に足を運ぶ理由をつくる
- 地域資源との結合:スポンジ刀に城の名前を刻印し、会場に城のノボリを立てる。「遊びながら城跡を覚える」設計
- 住民主体:甲冑作りやPR動画制作のワークショップを開催し、市民が運営に携わる体制へ。市民が「参加者」から「担い手」に変わっていく
成果
「市内1万人の侍をつくる」(市人口の約10分の1)を合言葉に開催を重ね、通算60イベント以上・参加者10,185人(2020年3月時点)を達成。地域コミュニティの連携と城跡の観光地化が実現し、周辺地域を含め認知度の高い地域ブランドとなりました。この取り組みは外部での事例発表も多数行われています。
現場で印象的だったのは、参加者を「可児市侍」と呼ぶ合言葉が市民の間で独り歩きし始めたことです。桜まつりでの初陣から始まり、開催のたびに侍が増え、約2ヶ月で1,000人、初年度のうちに5,000人を突破。市長も市民と一緒に開戦の合図を執り、桜まつり・バラまつり・山城イベントと季節の地域行事に合戦を重ねるうちに、市民ボランティアが運営に加わる循環が生まれていきました。可児市が目指したのは「まちづくりの活動人口を増やし、私たちが去った後も担い手が残る状態」。イベント屋ではなく、その仕組みづくりこそが私たちの仕事でした。
→ 事例の詳細は導入事例ページをご覧ください。
自治体がイベントパートナーを選ぶ3つのチェックポイント
- 住民を巻き込む設計ができるか——「イベント運営代行」ではなく、住民が担い手になる仕組み(ワークショップ・人材育成)まで提案できるか
- 地域資源と結びつけられるか——どこでも同じ内容の「持ち込み企画」ではなく、その地域の歴史・場所を活かした設計ができるか
- 継続の仕組みがあるか——単年度で終わらせない体制(ライセンス契約・複数年計画・効果測定)を描けるか
費用と進め方
チャンバラ合戦の単発開催は35万円〜。可児市のような、サイト・PR動画・チラシ制作からイベント運営・プレスリリース配信までの一括プロデュース(複数年)もご相談いただけます。進め方は「お問合せ→ヒアリング→企画提案・お見積り→実施」で、単発開催なら3ヶ月前のご相談で間に合います。
よくあるご質問
Q. 城跡のような歴史資源がない地域でも可能ですか? A. 可能です。公園・河川敷・商店街・廃校など、その地域にある場所を活かした企画をご提案します。チャンバラ合戦のほか、光の運動会「プラネタリング」や地域オリジナル遊びの開発(大阪府豊能町「とよポン」など)の実績があります。
Q. 予算が限られています。 A. 規模に応じた設計が可能です。まずは単発の小規模開催で住民の反応を確かめ、翌年度から拡大する進め方も多くの自治体で採用されています。
Q. 既存のお祭りと組み合わせられますか? A. できます。既存イベントのプログラムの一つとしてチャンバラ合戦を組み込む形は、集客の相乗効果が高くおすすめです。
まとめ:イベントは「一日」ではなく「仕組み」で設計する
地域活性化イベントの成否は、当日の盛り上がりではなく「体験型か・地域資源と結びつくか・住民が主体になるか」の設計で決まります。NPO法人ゼロワンは、非営利団体だからこその中立的な立場で、自治体・観光協会・商工会議所の皆さまと一緒に「続く仕組み」をつくります。
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